日本には、新年を迎えるにあたり、「お正月飾り」を祀るという習慣が
あります。
お正月飾りは、縁起物ともいわれ、いろいろなものがありますよね。
そして、それぞれに意味やふさわしい飾り方など、
いろいろと決まりごともあります。
その中に、羽子板(はごいた)や破魔弓(はまゆみ)があり、
初めてのお正月を迎える赤ちゃんの、「初正月」の節句祝いで飾られます。
今回は、この羽子板や破魔弓について、お正月のいつまで飾るものなのか、
また由来や飾り方についても、解説していきます。
お正月に飾る縁起物の中で、お子様が生まれると、新しく加わるのが、
羽子板や破魔弓ですね。
お正月飾りは、一般には、年末の12月28日から、年が明けて1月7日頃まで
飾るものなのだそうです。
そうはいっても、羽子板と破魔弓は、お子様のお祝いですから、
もう少し早くから飾っておきたいですし、実際には、
12月中の吉日に飾れば、良しとしていいようですよ。
また、昔は、関東は8日まで関西は13日まで、というように、
地域差があったようで、他にも地域特有の風習もあるかも
しれませんので、確認してみましょう。
そして、神社などで旧年中にいただいたお札やお守り、
お正月飾りなどを納めたら、焼いて供養するためのお炊き上げをする行事、
とんどの日が、旧正月(小正月)である1月15日です。
それを目安として、羽子板や破魔弓の飾りは、1月15日にしまうのが
良いとされています。
しかし、羽子板や破魔弓は、「節句人形」でもあるので、
正月飾りとしてだけでなく、その後の3月の桃の節句や5月の端午の節句に飾る、
お雛様や兜など節句人形の「脇飾り」として使うのもOKですよ。
そして、厄除けの意味もあるので、年中飾りとして、
しまわずにずっと飾っておいても大丈夫なものなのです。
赤ちゃんが誕生すると、初めて迎えるお正月=「初正月」のお祝いに、
祖父母などの親戚や知人などから、羽子板や破魔弓が「お正月節句飾り」
として贈られるという風習は、日本特有のものです。
もともとは、全国的な風習ではなかったようですが、
ぜひ伝えていきたいもののひとつですね。
そこで、羽子板や破魔弓にどういった意味や由来があるのかを、
ご紹介します!
この「初正月の節句」の風習は、男の子が弓矢で的(ハマ)を射て、
その年の豊作を占い、女の子が羽根付きをして、その年の厄払いをする、
という古のお正月の行事がもととなって始まった、といわれています。
まず、破魔弓ですが、「弓矢」は、武士が持つ武具ですから、
「破魔弓を飾る」というのは、江戸時代に武家で行われていた習わしが
始まりだといわれ、男の子が生まれると、たくましく育ってほしいという
願いを込めて贈られた、という風習が、現代まで受け継がれてきたものです。
また、弓矢には、邪気を払う力があるとされ、昔から儀式にも使われており、
不幸や病をもたらす「魔」を破るもの、つまり「魔よけ」となるのが
「破魔」矢であり、弓とセットで「破魔」弓なのですね。
弓矢は、他にも、新しく家を建てる際の上棟式にも使われ、
鬼門に向けた形で棟の上に弓矢を立て、
魔よけのおまじないをするという風習も見られます。
次に、羽子板の方は、女の子が生まれた場合に贈られますが、
こちらは、厄除けと無病息災の願いが込められています。
羽子板は、昔の日本の風景にもよく登場する、子ども達の
お正月の遊び道具の一つですが、もともとは女の子が生まれた家への
贈り物だったようですね。
「羽子板」には、昔から魔よけの意味があるとして、神事にも登場しますが、
「羽根付き」の行為自体にも、厄除けや魔よけの意味があるそうですよ。
さらに、「羽根」についている黒い玉は、「無患子(むくろじ)」という木の種で、
その漢字からわかるように、「子どもが患わない」=「無病息災」の意味があります。
それらが組み合わさるわけですから、とても縁起がいいですよね。
こうした意味から、健やかな成長を願うものとして、生まれてきた赤ちゃんに、
羽子板を送る風習が定着していったようです。
初孫の場合には、特に好んで送られる地方もあるようですね。
他のお正月飾りと同じで、一般的に神棚や床の間に飾るものだといわれますが、
この頃は、マンションなどで、神棚や床の間がないこともありますよね。
そんなときは、赤ちゃんの初正月のお祝いの節句人形でもありますから、
玄関などの人目に付きやすい場所に飾っても大丈夫なのです。
お正月飾りコーナーを作って、他の縁起物と組み合わせて置くのもステキですね。
お祝いのお食事会などを行う場合にも、皆さんに見ていただけるように、
セッティングしましょう。
また、赤ちゃんの健康や成長を願う気持ちのこもったものですから、
赤ちゃんがいつも寝ている寝室や昼間に過ごすリビングに飾り、
見守ってもらうのもいいですよね。
この頃は、お子様に遊んでもらってもいいような遊ぶ用もあり、
種類がいろいろあるようです。
また、飾り専用は、きれいな硝子ケースに収納されているものもあり、
置きやすくてしっかりしていますよね。
そして、神社や寺で授かる破魔矢は、破魔弓が簡略化されて矢だけに
なったものなのだそうで、お札などのように、破魔矢を授けていただいた場合は、
神棚と同じで、大人の目線よりも上に祀りましょう。
その場合は、太陽の方向へ矢の先が向かないようにすれば、
どちらに向いていても大丈夫です。
古き良き日本の伝統のひとつに、初正月のお祝いがあります。
男の子なら、たくましく育ってほしいという願いを込めて破魔弓を、
女の子なら、健やかな成長を願って羽子板を贈ります。
どちらも魔よけ・厄よけの意味があるもので、私たちのご先祖様が、
子どもたちの成長をとても大切に思っていたことが伝わってきますね。
そんな良き風習を、由来や意味も教えてあげながら、子どもたちに
伝えていけるといいですね。