晩秋からクリスマスシーズンになると、ホームセンターの園芸コーナーには、
色とりどりのシクラメンが並びます。
鉢植えの中心にまっすぐに揃って咲く赤やピンクの花が、
とても元気に見えますよね。
このシクラメン、多年草で、上手くいけば毎年花を咲かせてくれますが、
栽培には、いくつか注意点があります。
球根で育つ花ですが、カビが生えやすいのが要注意ポイント!
そこで、今回は、シクラメンの栽培で、球根のカビに気をつけながら、
水やりやお手入れをする方法について、ご紹介していきます。
シクラメンの花の姿を、思い出してみましょう。
シクラメンは、球根の上に茎が密集して生えていて、葉が重なりあって
根本の周りを覆うため、通気性が悪く、乾きにくくて蒸れやすい形状を
していますよね。
カビは、湿度が高い環境が大好きですから、この通気性の悪さこそが、
シクラメンにカビが生えやすい原因のひとつですね。
元気なシクラメンを見分けるとき、「球根が、鉢土から上に出ているのが良い」
というのが、ひとつのポイントです。
それは、球根の上部が土から出ていれば、葉やつぼみの基部が乾きやすいため、
病気にかかりにくいからですね。
また、シクラメンには、低温多湿な環境では、「灰色カビ病」という病気が
発生しやすくなり、カビがつくほとんどの原因は、この病気です。
それに、シクラメンの球根の先にある芽の部分は、水がたまると腐りやすいのです。
高温な時期で、球根から悪臭を放つようなときには、通気が悪く
球根が腐っていることが考えられ、この病気は、「軟腐病」といいます。
シクラメンの水やりは、球根に直接水をかけないことが大切なポイントになります。
シクラメンの球根は、少し乾き気味の方が、調子が良いのです。
ですから、葉や花にかかってしまうような、上からザーザーと水をかけるのは、
ご法度ですね。
手で葉をよけながら、“土に水をやる”つもりで、鉢の縁の方からそっと水やり
しましょう。
静かに注ぐ方が良いのですが、水量はたっぷりと!
鉢底から水が流れ出すまで与えるようにし、鉢の中の空気を入れ替えるような
気持でやるのがよいようです。
しかしながら、水のやり過ぎはよくなく、次に水やりするのは、土の表面が乾いてからに
しましょう。
また、最近は、鉢の底面で必要な分だけ給水できる、「底面給水方式」を
取り入れた鉢が多くあり、上から水をかけられないシクラメンには、
とても適しています。
鉢の底にもう一つ、水を入れておくお皿があり、そこから、スポンジや
布切れを伝って鉢の用土に給水するしくみです。
この鉢なら、下段の皿に水を給水していれば、土の乾燥具合に応じて
自動的に吸水してくれ、とても便利ですね。
しかし、土の過湿は、カビが生えやすい環境になりますので、この鉢の場合も、
水の補充をするのを少しサボり気味にするくらいがいいようです。
タンクの役割のお皿には、空になってから、半量くらいの水を入れるように
しましょう。
シクラメンの球根は、湿気に弱く、濡らしてはならないことがわかりましたが、
次のようなお手入れもとても大事です。
球根の頂部に芽があるのですが、そこに日光を当ててやることで、
生育を促進することができ、株を長もちさせることにつながります。
また、病虫害を防ぐこともポイントですね。
そして、シクラメンは、多年草で冬の花ですから、春に花が咲き終わっても、
うまく夏を越せば、秋にはまた新しく花を咲かせてくれるでしょう。
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葉組み
花を株の中央に集めるようにして形を整えるため、葉がたくさんになり、
込み入ってきたなと思ったら、「葉組み」という作業を行いましょう。
中央にある葉を、外側の古い葉の下の方へ手で移動させてやります。
このとき、株の中央の根元に日光を当てたいので、できるだけ葉の柄
が交差しないように気をつけます。
秋になると、とくに葉が増えてくるので、この葉組みを行うと良いですね。
また、花が咲いているときに行うと、花の形が良くなり数も増えるので、
ぜひやりましょう。
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花がら摘み・枯れ葉取り
咲き終わった花や枯れ葉は、病気の原因になるので、見つけたら、
手で柄をつまんで少しねじるようにして引き抜いておきましょう。
このとき、はさみなどで切ると、切り口が大きくなるので、雑菌が入ってしまい、
腐ることもありますから、使わないようにします。
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夏越し
シクラメンは、5~6月になると、花も終わり、休眠状態に入り、
新しい葉が開かなくなります。
秋になってまた活動を開始するまで、うまく夏を越させてあげましょう。
夏越しの方法には、「休眠法」と「非休眠法」とがあります。
5~6月になり、花が咲き終わると、徐々に回数を減らし、水やりをしないように
していきます。
休眠状態に入れば、完全に水やりをやめて、雨水がかからない、風通しの良い日陰に置き、
夏越しをさせましょう。
8月の終わりごろから、また水やりを再開させます。
そして、1回り大きな鉢に用土をいれ、球根を半分土から出すようにして、
植え替えてやりましょう。
5~6月になり、花が終わりかけたら、一度1回り大きな鉢に植え替えをしておきます。
そのまま、病害虫や、日焼けなどに注意しながら管理してやりましょう。
梅雨時期からは、雨がかからない、できるだけ涼しい風通しの良い所で、
30℃以上にならないような、明るい日陰の場所がいいですね。
8月の終わり頃になったら、もう1回り大きな鉢に植え替えしてやりましょう。
(注) 寒冷に強い「ガーデンシクラメン」は、非休眠法で育てます。
「シクラメンのかほり」という歌を知っていますか?
年代がバレてしまいそうですが、“真綿色したシクラメン”という歌詞から、
いったいどんな色の花?と、疑問に思ったことがあります。
年末、店頭に並ぶシクラメンって、多くは赤・ピンク・白と明るく美しい色ですよね。
中には、紫色っぽいものもありますが、真綿色って、やっぱり白なのでしょうか?
さて今回は、そのシクラメンの球根について、なぜカビが生えやすいのか、
さらに、水やりやお手入れの仕方についても、解説いたしました。
秋から冬まで長く楽しめるシクラメンの花。
カビが生えないように注意しながら、花が終わっても、球根が夏を越せるように、
トライしてみてくださいね。