私たちが保育園頃から、使い始める身近な道具「ハサミ。」
家庭の中でも、仕事中でも、学校でも必ず使っていて持っていない人はいないと思われる道具です。
用途によって種類も豊富。キッチンばさみ、工作用ハサミ、すきばさみ、植木ハサミなどなど、このようにパッと思いつくものを挙げてみてもたくさんでてきます。
このように場面やシーンによって使い分けられているハサミですが、裁縫をする時に使うものは、主に2種類。
それは、ミシンや手縫いで使う糸を切る“糸切りはさみ”と布を切る“裁ちハサミ”です。
今回は、裁縫をする人なら裁縫箱の中に必ず1本入っている「裁ちハサミ」のことを調べてみましたので、ご紹介します。
「そういえば、最近裁ちハサミの切れ味悪いから買い換えようかな?」なんて思っていた方はご参考にしてみてくださいね。
どれを選べばいいの?手芸用裁ちハサミの種類と違いを解説
まず、裁ちハサミですが大まかに分けて2種類あります。
1つは、刃がステンレス、持ち手がプラスチックでできている「ステンレス製裁ちハサミ」、もう1つは、刃と持ち手が一体となって鋼でできている「鋼製裁ちハサミ」です。
ステンレス製のものは、軽くて持ちやすいので小学生の時に使う裁縫箱セットの中にも入っています。100均でも手軽に買い求めることができるので、ユーザーも多くいます。
一方、鋼製のものは、持ち手と刃が一体構造で作られていて重く子供たちにはちょっと使いにくい、上級者向けの裁ちハサミで、洋服を作る専門職である洋品店のテーラーやパタンナーの人が使っているのを見かけます。
実際にその2種類を比較してみましょう。
手芸用裁ちハサミの種類による違いと選び方
裁ちハサミを選ぶ基準となるそれぞれの良い点、悪い点を挙げますと、
*ステンレス製の良い点
・これといったお手入れの必要がない。
*ステンレス製の悪い点
・刃の先が安全の為、丸い構造になっているので込み入った細かいところを裁断するのが苦手。
*鋼製の良い点
・刃先が尖っているので、細かいところの裁断にも対応できる。
*鋼製の悪い点
・手入れを怠ると切れ味が落ちたり、錆びたりする。
裁ちハサミの切れ味を保つ取扱いの注意点
ステンレス製の裁ちハサミは、特に手入れという手入れはないですが、布を切った時、繊維がハサミの刃にくっつくことがあるので、それを乾いた布で拭いておくことをおすすめします。
この時、ハサミの刃で手をケガしないようにご注意くださいね。
刃先をキレイにしておくと、ハサミの切れ味を損ないませんよ。あと、刃先の部分は安全の為カバーをかけておくといいですね。
鋼製の裁ちハサミは、定期的な手入れが必要です。
まず、使い終わったら、刃に布の繊維やほこりがついているので、それを布で拭きとってキレイにします。
それから、別の布に専用の油を1滴たらし、刃全体とネジの部分によく伸ばしながらまんべんなく塗ります。
この時、専用の油がなければ、ミシンを持っている方なら大抵の方が持っているミシンに使用する油でも代用できます。
これをすることで、刃の切れ味もキープできますし、油で刃の表面がコーティングされ錆びの予防にもなります。
さらにネジのところにも油を塗ることで、刃が布生地にスーッと入り流れるようなハサミの動きになります。
あと、油を塗るときの注意点を一つ。油を塗るときは手作業になりますが、絶対に刃には手を触れないことです。
刃に手の油や汗が付着すると錆びの原因となりますので、気を付けて作業しましょう。
何といっても刃物は切れ味が永遠ではないので、研ぐことが必要になってきます。ステンレスのものはセラミック製の棒状の研ぎ道具があるので、それで刃をこすると切れ味が復活します。鋼のものは、刃元のネジを外して砥石で研ぐことになります。
自分でするのはなかなか難しい作業になりますので、手芸専門店に相談するか、刃物研ぎにおまかせすると安心です。
まとめ
比較してみると、それぞれステンレス製はわかばマーク向き。鋼製は、レーサー向きといったところ。
当然のことながら、鋼製は、ステンレス製より価格も高価です。どこでも買えるというわけでもなく、主に手芸専門店での取り扱いとなります。
というと持つには敷居が高いイメージがしますが、そんなこともなく手入れを怠けなければ、長く使い続けることができます。
ちなみに、私の祖母が持っていた鋼製の裁ちハサミは母や私が譲り受けて使っていました。
ハサミだけでなく、手芸の道具というのはマチ針一つとってみても、保存状態がよければ長年使えるものが多いので、ぜひ大切に使ってくださいね。
最後に補足になりますが、「絶対にやってはいけないこと!!!」がありますので、お伝えしておきます。
裁ちハサミ、特に鋼製のもので【紙を切ってはいけません】ということ。
それはなぜ?それは、裁ちハサミはやわらかい布を切るために繊細に作られているからなのです。
もし、間違って切ってしまった場合、裁ちハサミの刃がこぼれて切れ味が悪くなってしまいます。
ですから、布と一緒に型紙を切ってしまわないよう注意が必要です。