老人ホームは高齢者の生活を支援する場です。
食事や睡眠の管理も大切ですが、その根底にあるのは健康管理です。
特に体温は、体の変調にいち早く気づくことのできる情報でもあります。
皆さんは、高齢者の平熱を知っているでしょうか?
自分の平熱を基準に考えてしまうと、体の不調や病気を見落としてしまう可能性もあります。
高齢者の平熱やその特徴を把握し、体の不調をいち早くキャッチしましょう。
高齢者の体温の平均は?いつ計るのが良い?体温計測と体調管理
基本的に、高齢者になると体温は下がります。
原因ははっきりとはわかっていませんが、運動機能や身体の生理機能の衰えが関係していると言われています。
高齢者の体温の平均は、36.6~37.0℃と言われています。
あくまでも平均なので個人差があり、人によっては35℃台の場合もあるので注意が必要です。
平熱が35℃台の人の場合、36℃後半になると熱が高い状態になります。
高齢者の体温は風邪や病気などが悪化した際に上昇し、それにより発覚する場合があります。
つまり、気づく段階になったときには悪化している可能性が高いのです。
高齢者の異変にいち早く気づくためにも、1人ひとりの平熱を把握し、その人の微熱や発熱が何℃くらいなのかを把握することが大切です。
体温は、体を動かした後は高くなりやすいと言われています。
計測を行う場合は体を動かす前、朝の起きる前に行うのがおすすめです。
当然ですが、お風呂上りは体温が高くなっているので体温計測は向いていません。
また、体温は1日の中でも変動があるため、ある程度同じ時間に測るようにしましょう。
高齢者は体温が低めでも病気の場合もあり!加齢と体温の下降
高齢者が風邪を引いた場合、発熱の程度が若い人より弱いこともあります。
長年生きていると、その分風邪などウイルスに感染する機会も多いですよね。
若い人の場合は、感染した経験が少ないため抗体ができておらず、ウイルスによる症状が出やすいと言われています。
高齢者の場合は体に抗体ができているため、熱などの症状が出にくいのです。
そのため、高齢者の風邪は発熱のみで判断することができません。
咳や鼻水などの風邪症状が出ていないかだけでなく、顔色や呼吸状態などを確認する
ことも大切です。
また、体の不調から食欲の低下や、ふらつきなどがみられる場合もあります。
風邪症状の有無だけでなく、生活面の変化も観察するようにしましょう。
高齢者の体温は微熱だと病気のサイン?発熱を伴う気になる病気
先ほどもご説明しましたが、高齢者の場合、風邪などでは微熱・発熱に至らない場合もあります。
ただし、風邪などの感染症の場合から肺炎に進行している場合や誤嚥性肺炎、尿路感染症の場合は発熱に至ることも多々あります。
風邪は鼻や喉といった上気道や気管支で炎症が起こりますが、肺炎は肺の中の肺胞という部位に炎症が起きます。
肺は酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出す役割を果たしているため、炎症が起きると呼吸困難を引き起こしてしまいます。
若い人の肺炎の場合は早めの段階で発熱や咳、息苦しさを感じますが、高齢者の場合は症状が悪化した際に症状が出ます。
そのため、高齢者の肺炎は危険な病気と言われており、亡くなる可能性も高い病気なのです。
肺炎としての症状があらわれない場合もありますが、食事量の低下やふらつきなど些細な不調が出ることもあります。
尿路感染症は、尿の通り道で炎症が起こっています。
腎盂腎炎、膀胱炎などの種類があり、炎症を起こしている場所によって変わります。
若い人の場合は発熱や排尿時に痛みを感じ、病気に気づくことができます。
しかし、高齢になると痛みなどの感覚に鈍くなる傾向があるため、発見が遅くなることもあります。
体温だけでは判断できない病気のため、排尿に対しての変化がないかを確認するようにしましょう。
まとめ
体温は病気やけがのサインとも言えます。
異変にいち早く気づくことで、病気やけがの悪化を防ぐことも可能です。
高齢者の平熱はその人によっても違います。
高齢者の体温の平均を把握することも大切ですが、1番大切なのはその人の平熱を把握することです。
体温という数値だけでは、体の不調に気づくことはできません。
高齢者の不調は、日常生活の些細な変化から気づくこともできます。
そのため、普段からその人の身体状況や食事量などの把握も必要です。
体温と合わせて、顔色や呼吸状態が悪くないか、ふらつきなどがないかも確認するようにしましょう。
老人ホームで働いている場合、シフト制の勤務であることがほとんどです。
今回ご説明した病気は、日々の変化を把握することが大切になります。
そのため、スタッフ間の申し送りや情報共有は密に行うようにしましょう。
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